数学ガール フェルマーの最終定理を読みました。
数学ガール フェルマーの最終定理を読みました。数学ガールに続きとても面白く、学びが多かったです。読んで特に心に残ったことをまとめます。
原始ピタゴラスの問題
整数問題は、聞けばわかるけど、テトラちゃんと一緒で「絶対思いつきませんよ」です。「僕」が言うように森をふらふら歩いてる感じで、途中で帰りたくなります。
整数問題は、面白いんだけど、難しく奥が深いです。
整数問題のコツは、「偶奇を調べる」「整数の構造は素因数」「積の形」「互いに素」なるほどって感じでした。
素数指数表現
ベクトルと対応付けて考えるのが面白いです。
ガウスの整数と素数の因数分解
4で割って3あまる素数はガウスの整数で因数分解できないところが数字の不思議です。
群論
群論は何度か勉強しているけど、断念しています。数学ガールで理解が進めばと思いました。群環体が出てきました。群は知っていましたが、環と体は理解していませんでした。
環は群の演算を加法として、もう一つの演算乗法を定義したものです。
体はさらに除法(乗法の逆元)を定義したものです。
群環体の定義がやっと理解できました。具体的な既約剰余類群、剰余環、有限体が理解の助けになりました。
無限下降法
物語を読みながら同じような計算、式を繰り返すので、この式はボツになるオチかと思っていたら、無限下降法というのが出てきました。自然数には最小値があるから矛盾が導かれ、背理法によって証明していました。そんな方法があるんだとびっくりしました。
さらに無限下降法によって、フェルマーの最終定理の4乗の場合を証明していて、さらにびっくりしました。
抽象化と汎用化
本の中で出てくるわけではないけど、読んでいる途中で抽象化と汎用化が重要だと再認識したので、思ったことを書きます。
数学や物理をやっていて、群論が必要になって勉強したことがあります。そこで感じたのは抽象化が重要といういことです。数学は群論だと四則演算のように具体的な計算というより、定義された演算になっていて、とても抽象的です。さらに最近プログラムの勉強し直して、アジャイルやオブジェクト指向、抽象化の重要性を再認識していたところです。
twitterで抽象化は汎用化の意見があり、ハッとしました。
抽象化の最大の効用は汎用化。実務的には理解していたつもりだったけど、最近オブジェクト指向を勉強し直して、重要性の理解が深まった。今回数学ガールのフェルマーの最終定理を読んで、数学にも同じことがいえることが分かった。物理にもつながる。数学、物理では定理や公式がまさに汎用化だ。深い。 https://t.co/Du45cJy0bM
— Takuya Saito (@takus69) September 24, 2016
プログラムでの汎用化は何となく理解していたけど、数学、物理も同じであることがわかりました。定理や公式は汎用化の一種かなと思いました。FLT(4)の証明でミルカさんが「最後のピースを埋めただけ」といっていました。証明が簡単に終わったけど、それは「僕」の公式があったためで、これが抽象化、汎用化の利点だと思いました。プログラムで言うとライブラリや汎用的なモジュールだと思います。
最近の数学や物理はとても抽象化されていたり、何十次元とか、素粒子とか宇宙とか、直感的にわかるものでなくなってきている気がします。その中で定理や公式の組み合わせで何かを証明していく、という形になっているのかなと感じました。
プログラムはライブラリが充実して、色んな事が簡単にできるようになっていて、抽象化、汎用化のメリットを最大限に享受できるように進化しているのかなと思います。私もその一助になっていきたいと感じます。
well-defined
数学や物理で定義を一般化して、定義し直すときがあります。まさにその時感じるのがwell-definedです。本当に元々の性質を満たしているのか、その証明や理解がないと先に進んでもイマイチ納得感がありません。well-definedかどうかを考えることはとても重要なことだと思うけど、教科書では触れられても1行なんだと思います。
フェルマーの最終定理の歴史
定理の証明の歴史が書かれていて、楽しく感じました。初等整数論の時代、代数的整数論の時代、幾何学的数論の時代、数学の進化を感じることができました。
フェルマーの最終定理
フェルマーの最終定理は、すべての証明は書かれていなかったけど、証明するための道筋と必要な定理がしっかりと書かれていました。フェルマーの最終定理を証明するために必要な定理がかかれていて、その定理を使ってどう証明するかがわかりました。(ユーリが道筋を自分で考えて導き出してました。)
ワイルズがどのような理論で証明したかがわかりました。まさにパズルのピースを埋めているような感じでした。定理の一つ一つは難しく詳しく証明は書かれていませんでしたが、定理の概略と定理を使った道筋は書かれていました。複数の定理が関わり証明されていることがわかり、知識が蓄積された結果で証明が可能となったと感じました。
本当に理解するには一つ一つの定理を理解し、証明する必要があると思いますが、大枠の全体像の理解も大切だと感じました。
まとめ
数学ガールのフェルマーの最終定理を読んで、抽象化、汎用化が重要だと再認識しました。プログラムの世界でも抽象化、汎用化の重要性に最近気づいたのですが、数学や私の好きな物理も同じだと感じました。
抽象化や汎用化を考える上で大切になってくるのが全体像だと思います。大枠で理解をして、その上で詳細を理解する必要があると思います。本当の理解のためには詳細を理解することが必要ですが、全体像を理解することの方が大切だと思います。全体像がわからなくて、一部の定理だけ理解していても意味がないからです。
まさか数学ガールを読んで、物理やプログラムの世界にもつながるとは思いませんでした。
数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)
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